こんにちは、COTECHI です。
いじめの問題をよく報道で耳にしますが、なんとかならないものでしょうか?
これまでは「いじめ」に対して対症療法的な対策が多く、授業の中でも、道徳科の時間や特別活動の時間、ソーシャルスキルトレーニング、役割演技等の僅かな機会でしか、意図的に人間関係を育む活動を行っておらず、効果が表れていないのが現状ですねえ。
私たちが取り組んでいる『学び合い』が全国的に広がれば、明るい兆しが見えてくるのではないでしょうか?
私も、同じ考えだよ!少し考えてみようか・・・
・学級内で子供たちの人間関係が好ましくなく、トラブルがよくおこるとお悩みの先生。
・学級内の子供たちの学力格差が広がり、子供同士の『学び合い』を組織する基盤となる人間関係形成力をつけてあげたいと思っておられる先生。
積極的・開発的な対策への変換を図る『学び合い』
今、「いじめ」問題に対して、どうしても、いじめが起こってから、いじめが発見されてからの対症療法的な対策が多く、どうしても後手後手になりがちです。
そうなると、被害者になった児童も加害者になった児童も苦しみ、さらに、そのご家族や周りの子供たちにも、辛い出来事として残ってしまいます。
私たちは、そうした事後対応的な生徒指導から、そもそも、いじめを起こさない、いじめが深刻化する前に、子供たちが考えられるようにする、積極的・開発的な生徒指導対策への変換を図ることが早急に望まれているのではないかと思っています。
そこで、子供が学校生活を送る中で最も多くの活動の割合を占めている「教育活動の中核となる授業の時間」を通して、好ましい人間関係力を育てる授業を行うことは、とても重要であり、現実的な日々の 積極的・開発的な生徒指導であるため、喫緊で、今日的な課題を解消する上で非常に重要で あると考え、『学び合い』授業に取り組み始めました。
人間関係形成力を各教科等で身に付けさせる
「いじめ」防止を意図した授業では、以下に示す3つの資質・能力を身に付けさせることです。
この3つの中で、特に、重要視しているのが、人間関係を形成する力です。
この人間関係形成力を各教科、領域等の授業で身に付けさせることが、「いじめ」の防止につながると考えています。
〇人間関係形成力 子供それぞれの学びを他の子供と共有し、協働的に活動する力 <情緒的な発信力>・・努力する仲間への頑張りに対して、激励や称賛、感謝を伝えようとすることができる力 <意志的な発信力>・・自分の思いや考え、学び等を周りの友達にわかりやすく伝えようとすることができる力 < 合 意 形 成 力 >・・仲間と思いや考え、学び等を共有し合い、新たな意味や価値を生み出すことができる力 |
〇思考力・判断力 課題を解決するときに、既習の学び方に基づいて、課題を把握したり、具体的な学習活動を通して、学び得た知識の意味付けや価値付けを行うことができる力 |
〇基礎学力 教科固有の知識、技能、見方、考え方、思考判断等 |
「人間関係形成力」は、「情緒的な発信力」、「意志的な発信力」、「合意形成力」の3つの力で支えられています。
仲間への激励や称賛、感謝等を伝える「情緒的な発信力」は、「仲間と支え合う子供」を、自分の思いや学びを伝えるための「意志的な発信力」は、「気持ちを伝え合う子供」を、仲間と学びを共有して新たな学びを生み出す「合意形成力」は、「価値をつくり合う子供」を育てる力として位置付けています。
『学び合い』は、子供相互が学び合い、「1人も見捨てない」という目標(ゴール)に向かって、助け合って協同して学ぶ学習です。
この中では、「仲間と支え合う子供」関係を土台として学習していきますので、自ずと教師は、そうした人間関係づくりを基盤にして、学級経営を行うことになります。
その上に、「気持ちを伝えあう子供」づくりとして、「わからなさ」を大切にし、「わからない事こそ、そこには、宝物がある」、「学びは、わからないからこそ楽しい!」ということを子供たちと共有していくため、学力の支援が必要な児童にとっても、安心して、学び合える環境をつくることが可能になります。
こうした状況になると、子供たちは、安心して、積極的に表現活動(アウトプット)を行うようになります。
そうなったら、もうしめたものです。
なぜなら、こうした学級集団では、「学び」自体がとても楽しいものとなりますので、授業で子供が活躍し、よい回転をし始めます。
教師が心掛けていきたいことは、その子供相互の『学び合い』の姿の中に、大切な価値を見つけて、子供たちの中で共有させていくことです。
それは、「わかること」「できること」には、もちろん価値はあるが、そのことに至ろうとする過程の中で、互恵的な関係を築こうとしていr子供の姿にこそ、とっても尊い価値があるということです。
私たちは、未来永劫、1人で生きていくわけではありません。
常に、誰かに助けていただき、または助け、感謝し、感謝され、生きていく中に、生きる喜びを感じるのです。
その行為自体が目的であって、「できた」「わかった」は、どちらかというと、おまけだと、私は思っています。
もっと言えば、他者のかかわりや他者の喜びのない「できた」は、まったく価値もないとさえ思います。
だからこそ、3つ目の「価値をつくり合う子供」、つまりは、仲間と学びを共有して新たな学びを生み出す合意形成力にいたるわけです。
3つの立場を明確にして指導をする
これらの力は、いじめの「観衆」や「傍観者」になり得るかもしれない全ての子供に働きかけていくとともに、子供たちの支持的風土を高めていきます。
さらに、こうした力が高まると、親和動機をもとにした良好な人間関係が生まれ、集団内の子供たちがいじめを生まない集団、いじめを許さない集団へと変容することが期待できます。
また、この情意的、また、意志的な発信力、そして、合意形成力を身に付けるための「人間関係形成力」を育成しようとする授業は、従来の生徒指導の機能を生かすために必要な「自己決定」、「自己存在感」、「共感的な人間関係」が組み込まれた授業の1つの姿に他なりません。
そこで、計画的に「いじめ防止」を意図した教科等の授業では、3つの立場のどれに焦点をあてるのか、重点的に育む資質・能力は何かを明確にして授業を仕組むとよいと思います。