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・・・わが子が一人前の大人になって活躍しなければならない二十年、三十年先の世の中がどう変わってゆくか?予測できるものは一人もいないんです。
つまりどう変わるかわからない将来を生きてゆく、それが子どもです。
したがって将来、子どもがどんな苦難に遭遇するかはまったく予想できぬということ。
わが子には苦労させたくないと親のエゴでいくら思っても、親亡き後、親よりも苦労することがいっぱいあるかもしれない、そのように腹をすえて子どもの将来を見通すべきです。
そこで言えることは、たとえ、親よりも苦労することがあっても、親よりもたくましく、親よりも粘り強く、人生を生きぬいてゆく力と知恵とを子どもに与えておく、それが一番正しい親の愛情であり、義
務であるとわたしは思います。
そのためにはどうしたらいいか。
結論から先に言います。
負ける練習、恥をさらす訓練、カッコの悪い体験を、できるだけ多く子どもにさせておくことです。
人間の身体は使ったところが強くなります。
これは至極単純な原理です。
その反対、使わぬところはどんどん弱くなります。
現代っ子にとって、一番弱いところはどこか?
負けに耐える心、恥に堪える心、カッコ悪さに堪える心です。
負けるということは、自分の思いが通らぬことです。
自分の思いが通らぬ時、子どもは次の二つのうち、どちらか一つの行動をとります。
1 じっとがまんして自分の欲望にブレーキをかける。
2 だだをこねて思いを通す。
世の親は大体において後者で、大事に大事にだだをこねさせて子どもの思いをみんな通させる。
年寄りのいる家では、それに拍車がかかる。いわゆる過保護さまさまです。
つまり、子どもがガマンをする体験、ガマンをする機会を、親自身の手でみんな取り上げてしまうのです。
そしてわずかなことにもガマンできない、ブレーキのきかない、わがまま放題な子どもを作り上げておいて、しかもその子に手を焼いているというのが大方の現状です。
長い人生には、自分の思いが通らぬ場合がたくさんあります。
思うようにならぬのが世の常であり人生です。
それならば人生の的を思うようにならぬほうに合わせるべきです。
思うようにならぬ・・・それはことばを代えれば負けることです。
カッコよく勝つことではありません。
自分の思い通りカッコよく勝つことは人生ではごくまれです。
だから人生の的を確率の少ない「勝つこと」に合わせないで、確率の多い「負ける」ほう
に合わせておくことです。それが負ける練習です。
小さい時から負ける練習をさせておけば、成人してから負けに強い人間になれます。
失敗してもへこたれないたくましい人間になれるはずです。
人生におけるどんな波風、どんな屈辱にも堪えて、まっすぐに自分の道を歩いてゆけるような、しっかりした「いのちの根」を作っておいてやる、それが本当の愛情だと思います。
ラクしてカッコいいこと、つまり勝つことばかり考えて、過保護に育てられた子どもは、その分だけ「いのちの根」が浅く、親なき後の本人の負担が大きいことを知るべきです。
COTECHI
「最近の子どもは失敗を恐れる」と、教育現場の先生やスポーツのコーチなど、普段子どもと接する機会の多い人であれば肌で感じているそうですが・・・。
なぜ、子どもは失敗を恐れるのでしょうか?
P-MASTER
そうですね・・・職場でも、「初めから正解を知りたがる」「自分に与えられた仕事以外に手を出さない」といった新入社員の行動が目立ち、最近の若者は失敗を恐れるようになったと感じる方も多いのではないでしょうか。
P-MASTER
大事なのは「失敗しないこと」ではありません。
子どもを大切に思うあまりに、あれこれ先回りして親が手を出してしまうのも、成長を阻害する原因となります。
親が子どもの障害を取り除き、失敗しないよう育てた場合、子どもに社会の逆境に立ち向かえる力は備わっているでしょうか?
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