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“小4の壁”を乗り越えろ! 劣等感に苦しむ子供を救う方法・・家庭と連携して乗り越える5つの対処法
(出典 manapri.net)
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COTECHI
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「小4の壁」とは、小学校4年生前後の時期に子どもが直面しかねない、勉強面や内面的成長の変化を指す言葉ですね。

「9歳の壁」とか「10歳の壁」とも呼ばれることがあり、「イヤイヤ期」のように親のあいだではよく知られている用語かもしれません。

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うーん、そのような「壁」は、どうして立ちはだかるのでしょうか?

よく知らないままでは、子どもの成長に対する不安がいたずらに大きくなってしまいかねませんね。

今回は、「10歳の壁」「9歳の壁」「小4の壁」の意味や、それが発生する理由、そして子供が自分への自信を取り戻す方法について考えてみましょう。

「小4の壁」「10歳の壁」「9歳の壁」と発達段階の関係

「小4の壁」「10歳の壁」「9歳の壁」とは、年齢に応じた子どもの発達段階と深く関連しており、学校関係者ではよく知られた子どもたちの現象です。

10歳前後の子どもは、何かと口答えしたり「だって」「でも」と反発することがありますが、反抗期とは少し異なり、だんだんと「自分で考えたことを口に出し、主張や交渉できる能力が身に付きつつある」という発達段階にあるのです。

それと同時に、低学年頃までの子どもに特有の「万能感(自分はなんでもできる、自分が世界の中心という見方)」が消え、友だちと自分を比較して、自分にはこれができない・・・という劣等感を持つようになる時期でもあります。

文部科学省の「子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題」では、小学校高学年における発達段階の特徴を以下のように説明しています。

9歳以降の小学校高学年の時期には、幼児期を離れ、物事をある程度対象化して認識することができるようになる。対象との間に距離をおいた分析ができるようになり、知的な活動においてもより分化した追求が可能となる。自分のことも客観的にとらえられるようになるが、一方、発達の個人差も顕著になる(いわゆる「9歳の壁」)。身体も大きく成長し、自己肯定感を持ちはじめる時期であるが、反面、発達の個人差も大きく見られることから、自己に対する肯定的な意識を持てず、劣等感を持ちやすくなる時期でもある。

また、集団の規則を理解して、集団活動に主体的に関与したり、遊びなどでは自分たちで決まりを作り、ルールを守るようになる一方、ギャングエイジとも言われるこの時期は、閉鎖的な子どもの仲間集団が発生し、付和雷同的な行動が見られる。

(引用元:文部科学省|3.子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題

ひとことで言うと、子どもの成長は9~10歳の時期に大きく転換するのです。

これまでは具体的なモノや数以外を認識するのは困難でしたが、抽象的な概念も理解するようになります。

しかし、子どもの発達には差があるため、まだ抽象的思考を獲得していない子どもが、たとえば算数分野では分数や割り算の学習につまずいてしまい、「10歳の壁」「9歳の壁」「小4の壁」を越えられない子どもが続出するのです。

「10歳の壁」「9歳の壁」「小4の壁」の問題は、勉強面にとどまりません。

10歳ごろになると「他者意識」が発達し、他人との比較を通じて自分を認識するようになるため、子どもの自己評価や自尊心が低下してしまいます。

嫉妬などのネガティブな感情も生まれ、気に入らない相手を無視したり、その人について悪いうわさを流したりといった「関係性攻撃」につながってしまう場合もあるのです。

(出典 edumother.com)

何が原因なのか?どういう問題が見られるか?

「10歳の壁」が広く一般に知られるようになるには、きっかけがありました。

それが、2009年に放送されたNHKの報道番組『クローズアップ現代+』の「10歳の壁」特集です。

番組によると、9~10歳で小学校の勉強についていけなくなる子どもが急激に増えたのだそう。

原因のひとつとして、子どもの「考える力」が育っていないことが挙げられました。

暗記・スピード重視の反復学習ばかりやらせることや、日常生活における親や教師とのコミュニケーションが不足し「早く寝なさい」「お風呂に入りなさい」など、「○○しなさい」の一方的に指示を受けるばかりの状況が影響しているというのです。

その後、2011年に出版された心理学者・渡辺弥生教授(法政大学)の著書『子どもの「10歳の壁」とは何か? 乗りこえるための発達心理学 』(光文社)は、10歳という年齢における子どもの変化を「壁」ではなく「飛躍の時」として受け止めようと主張し、注目されました。

周囲と自分を相対的に見られるようになったという成長の証でもあるのです。

しかし、子どもがこの劣等感を受け入れられないでいると、一時的にでも強くなったような気分を味わいたいがために、他の子に意地悪をする・暴力をふるう・急に言葉遣いが悪くなる・集団でイタズラをする…といった、教師や保護者からは理解不能な行動に出ることがあります。

そして、この年頃の子は「ギャングエイジ」とも呼ばれるように、親よりも、友だちと一緒に遊んだり行動したがるようになりますので、より多くの子どもに伝播しやすいというのです。

特に男の子に多いように見られます。

学校や家庭では、教師や保護者に反発して、自己主張をしたり、巨費をしたりする姿が見られてきます。

ゴム鉄砲などを作って「戦いごっこ」をしたりするのは10歳頃から始まることがとても多いです。

時には個人の敷地に入り込んだり、ケンカになってケガをしたりで、親に連絡が入ってびっくり…といった事態に発展することも。

(出典 mamahiroba.com)

「10歳の壁」を乗り超えるのには何が必要?

「4年生くらいで、小さい頃とずいぶん変わってきたなぁと感じることが増え、宿題をなかなかやらなくなったので、よく聞いてみると算数や理科の授業内容についていけなくなっていた」 という声は、保護者からよく聞かれる話で、子どもにより個人差はあるものの、ほとんどの子どもに「10歳の壁」は存在しているようです。

先に述べたように、この年頃の子どもに起こるこうした変化は、「成長の証」でもあるのですから、発達の段階で必要なものと捉えて、周りの大人が理解をしてあげ、うまく対処をしてあげる必要があります。

しかし、ギリギリ教師や親が押さえつけて言うことを聞かせられる年齢でもあるため、口答えしたら叱る、常に「~しなさい」と命令形で物事を進める・・・というような接し方・指導を継続していると、より自信を無くしたり、学校に行きたくならなかったり、また、将来、物事を自分で判断できない「指示待ち人間」になってしまうという指摘もあります。

「学びの共同体」の佐藤学氏(東大教授)は、「小4の壁」を超えるために必要なのは、「人間関係つくり」・「学習つくり(学力)」に共通して「考える力」であると述べています。 

学習内容も易しくなっているにも関わらず、勉強についていけなくなる児童が、9歳から10歳、つまり小学4年前後に急激に増えているのだ。原因の一つと考えられるのが「考える力」の低下。算数の場合、計算は得意でも、文章題になるとできないケースが目立つ。背景として、ドリルに依存した学習スタイルや、家庭での会話の減少によるコミュニケーション能力の遅れなどが指摘されている。各地で模索されている対策も紹介しつつ、「考える力」をどう育てればいいのかを考える。

NHKクローズアップ現代」“10歳の壁”を乗り越えろ~考える力をどう育てるか~出演者:佐藤 学(東京大学教授)
(出典 s3.ap-northeast-1.amazonaws.com)

「考える力」なんて、どうやって身に付けさせればいいの?と悩んでしまいそうですが、実は考える力を育てるのには難しいテクニックや特別な方法などは不要です。

例えば、子どもが話しかけてきた時に、大人にとっては、簡単な内容でも、「ああ、○○ってことね」等と先に結論を言って終わらせようとせず、じっくり聞くだけでもOK。

また、子どもが疑問を持った時は、簡単に答えを投げるだけではなく、小出しにヒントを出したり、教師や保護者もまず「○○だからかな?」と仮説を立ててから実際に調べたりなど、「考える過程」を作ってあげることも有効です。

「えーとね、うーんと」と言うのを待つ間、ちょっともどかしいですが、このとき子どもの考える力はぐんぐん伸びているそうです。

また、「考える」時に欠かせないのが「ことば」。

絵本や児童文学などはことばの宝庫です。

小さい時から本を読む楽しさを知っている子は、4年生以降で出会う抽象的な数の概念や文章題などにも強いと言えるでしょう。

考える力をつけようとして絵本を与えるのではなく、親子で一緒に絵本を見ながら「楽しい」と思える時間を過ごすのが良いです。

「10歳の壁」を乗り超える教師と保護者の対処法

では、「小4の壁」「10歳の壁」「9歳の壁」がどのようなものか把握できたところで、教師や保護者として、子どもにどう接すればよいのでしょう? 

文部科学省は、「小学校高学年の時期における子どもの発達において、重視すべき課題」として、以下の5点を挙げています。

  • 抽象的な思考への適応や他者の視点に対する理解
  • 自己肯定感の育成
  • 自他の尊重の意識や他者への思いやりなどの涵養
  • 集団における役割の自覚や主体的な責任意識の育成
  • 体験活動の実施など実社会 への興味・関心を持つきっかけづくり

これらの課題を達成できる、5つの対処法をご紹介します。

対処法1:一斉授業から『学び合い』学習、課題解決型学習等の能動的な学習スタイルへの移行を!

『よい授業』とは、一言で言えば、子どもたち自身が主体的に活動し、「わかった!」「できた!」という達成感を得られる授業と言えます。

子どもは、「学ぶ内容が面白い」「学ぶ活動が面白い」と感じたり、「学んだことが活かせる喜び」「仲間と共に主体的に活動すること」を味わったりしたいのです。このような子どもの思いをかなえることが教師の役目と言えるでしょう。

そのためには、子どもの思いを大事にしながら、子どもの知的好奇心をくすぐったり、学んだことを生かせたり、友だちと関わらせたりするような授業展開を図っていくことが必要です。

さらに、画一的、受け身的ではなく、子どもたちが意欲的で、主体的に学ぼうとしている授業が望ましい授業の姿であると言えるでしょう。

もちろん、教師主導で授業を進めることも必要な場合がありますが、子どもが学習の見通しをもって進めていけるようにすることがとても大切なのです。

(出典 special.nikkeibp.co.jp)

『よい授業』となるための条件として、以下に5項目を挙げました。当然、ここに示した項目以外にも条件となり得る要素は考えられると思いますが、まずは、5つのことを参考にして、実践されてはどうでしょうか。

◇指導のねらいがはっきりしていること

授業を行う上で、「何のために学ぶのか」「どんな力を付けたいのか」ということを明確にしておくことが大切です。

授業を組み立てていく際に、『指導方法』に意識が向いてしまい、大切な『理念』、『指導目標』や『指導内容』が疎かになってしまうことがあります。

そこで、まず、「付けたい力は何か」という指導目標を設定し、目標を達成させるためにはどのような教材を使って、どのような内容を掴ませればよいのかを考えます。

そして、どのような方法で子どもたちに任せて、達成感を獲得させていくのかということを計画していくのです。

◇学習目標(理念)と課題が子どものものになっていること

子ども一人一人の考えを大切にし、単元(題材)の目標に迫っていくために、子どもの実態にあった適切な学習課題を提示することが必要です。

『学び合い』の授業では、先生は、授業の目的(理念)と課題は提示しますが、授業内での課題追求、学習内容の獲得は、子供たち相互の話し合い(アウトプット&フィードバック)を繰り返しながら達成していきます。

そのために、『学び合い』の授業では、次の考え方を全教職員、および子供たちと共有します。

◇学習内容や活動の見通しをもたせること

子ども一人一人の問題意識を掘り起こし、多様な考えを生み出すために、学習の流れが明確でわかりやすく、子どもの意識に沿った学習活動や学習内容が無理なく計画されていることが大切です。

◇子どもへの支援が適切であること

授業の中では、一人一人の子どもの理解度や活動の進度に差が生まれるものです。

子どもが「わかった!」「できた!」という達成感を得られるようにするために、子どもの関心・意欲を高めたり、思考させたり、表現させたりする際には、個々の理解度や学習進度を考慮した支援が必要です。

『学び合い』の授業では、一人一人の学びを促し、互いの力を合わせて学習していくための「学び合いのためのルール」が必要なんだと思います。

「自分の考えは、遠慮なく言う」、「間違いをばかにしない」、「困っている人がいたら助ける」などは、一人一人が授業に進んで参加し、自主的・協同的に学習するための絶対的な基本的なルールです。

こうした「互恵的な人間関係を構築できる支援」が最も大切です。

◇学習評価が適切であること

教師が自分自身の授業の在り方を見直したり、個に応じた指導を行ったりするために、子どもが学習内容を理解する過程はどうであったのか、どの程度の知識を得ることができたのかなどをしっかりとらえておく必要があります。

子ども一人一人の進歩の状況などを適切に評価し、その後の学習を支援する上で、有効に役立てていかなければいけません。

授業の成果としての子どもの満足ないし感動には2種類あり、一つは言うまでもなく、「できた」、「わかった」、「おもしろかった」という『知的な満足』であり、もう一つは、「先生に褒められた」、「みんなの役に立った」、「みんなの前で発表できた」、「自分の意見を聞いてもらえた」、「友だちに助けてもらえた」「みんなに認められた」など、種々ある『情緒的な満足』です。

まとめていうならば、今日の授業は「よかった」という感情でしょう。

授業を通し、子どもに両方の満足感を味わわせることができれば、教師として言うことはありません。

一斉指導を中心とする伝統的な授業では、前者に圧倒的なウェイトがおかれ、後者は付随的に起こる成果や満足と考えられており、敢えて授業のねらいとして設定されることはありませんでしたが、『学び合い』をとり入れる授業においては、「学び合いならではのねらい」を授業のねらいの一つとして明確に設定し、授業の中でその両方を子どもたちが得られるよう工夫し、そしてそれがどの子どもにも実現できたかどうかをもってよい授業かどうかを評価しなければいけません。

対処法2:「すごい」「すばらしい」「さすが」「ありがとう」のようなワードを使い、具体的にほめる

少し大げさに思えるかもしれませんが、このような言葉を用いると、子どもにとって「ほめられた」ことが分かりやすくなります。

たとえば、「テストで80点だね」「脱いだ服を片づけたね」と事実を述べるだけでは、ほめられているのかそうでないのか判然しません。

しかし、「80点をとるなんてすごいね!」「脱いだくつを片づけてくれてありがとう」と言うことで、ポジティブなフィードバックとなり、子どもはほめられていると理解できるのです。

いったい何をほめられているのか、どのような行動が高く評価されたのか、はっきりさせることも大切です。

ただ「すごいね」と言うだけでは、何が「すごい」のか分かりづらいですし、投げやりに聞こえてしまう可能性もあります。

そのため、上記の例のように、どのような行動をほめているのか明確に言語化しましょう。

くどく聞こえるかもしれませんが、「毎日1時間も勉強しているもんね。さすがだね」「自分からプリントを整理するなんてすばらしい!」など、できるだけ具体的な言葉にしてください。子どもの頑張りをちゃんと見ているよ、というアピールにもなります。

(出典 woman.mynavi.jp)
(出典 woman.mynavi.jp)

対処法3:学校では先生の手伝い・係活動、家庭では家事分担

そうはいっても、ほめることは難しいですね。

勉強が得意ではないので、ほめるポイントが見つからない――そう考えてはいませんか?

ならば、子どもに学校では、先生の手伝い、家庭では、家事を手伝ってもらいましょう。

学校では、先生の補助的な役割を手伝わせたり、家庭では、洗濯物をたたんだり、洗い終わった食器を棚に戻したり、能力に応じてできることを、保護者と連携して、具体的に指示してやってもらうのです。

そうすれば、「丁寧にたためたね」「手伝ってくれてありがとう」とほめる「ネタ」が生まれます。ほめられるだけでなく、「学級の役に立てた」「先生を手伝えた」「家族の役に立てた」と実感することで、子どもの自己肯定感が養われます。

「集団における役割の自覚や主体的な責任意識の育成」の効果があるといえるでしょう。

(出典 kyoiku.sho.jp)
(出典 kyoiku.sho.jp)

対処法4:読み聞かせの時間を1日、5分つくる

「読み聞かせ」というと、文字が読めない乳幼児のころにするものと思われがちですが、実は文字が読めるようになった小学生になってからもその効果は絶大です。

子どもは学年が大きくなるにつれ、徐々に自分でできることが増えてきますので、一人でできることが増えると、家庭では、少しずつ親子の時間、コミュニケーションも少なくなりがちです。

学校でも先生の説教的な長い話は、嫌われがちですので、短い読み聞かせにして、話して聞かせ、先生の話を聞く習慣を持たせていくとよいのです。

また、物語には登場人物の感情や価値観が描かれているため、自分とは違う他者の考えに触れることができ、他者の価値観を許容し、頭ごなしに否定をしない姿勢を身につけることができます。

また、多くの価値観が、子どもの思考の引き出しとなり、それまでの自分ではできなかった発想が生まれるようにもなります。

これは、文部省が指摘する課題「自他の尊重の意識や他者への思いやりなどの涵養」に該当します。

涵養(かんよう)とは、無理なく自然に育てること・・・物語を通じ、他者への共感を高めることは、「10歳の壁」「9歳の壁」「小4の壁」を乗り越えることにつながります。

さらに、多くの読み物には「友情の大切さ」や「因果応報」など抽象的な教訓が含まれています。

短い物語を、または、長編物でも少しずつ区切って、毎日読んであげて、このようなメッセージを感じ取ることにより、抽象的な物事への理解が深まることでしょう。

このように、読書や読み聞かせは「10歳の壁」「9歳の壁」「小4の壁」を乗り越えるのに大いに役立ちます。

読書離れが進んでいる現代の子どもには、短い読み聞かせを繰り返して行うことが大変有効的です。

(出典 benesse.jp)
(出典 benesse.jp)

読書療法(ビブリオセラピー)を支援の場で導入する動きも

本が持つ癒しの力を取り入れる組織も増えています。

読書療法を活用したプログラムを考案したスーザン・マクレーンは、さまざまな人が一堂に会し、複雑なテーマを協力的かつ建設的に話し合うための実に有効な手段になると語っています。

物語の中の人物の声や考えを通すからか、より安心して話し合えるのです。

読書療法が大きな効果を持つ理由の一つは、成功、失敗、もがき苦しんだ経験......本を読むことで、他の人がどんな生き方をしているのかを知ること、そして学校で読書を奨励することも非常に重要だとしています。

対処法5:正しいグループ活動を目指す

『学び合い』では、4人のグループを基本に学習しますが、ただグループにして話し合いをさせるだけでは、効果は期待できません。

めざすべき「正しいグループ活動」では、以下の「協同学習の5つの基本要素」の獲得をめざすことを心がけて、指導・支援をしていきましょう。

「協同学習の5つの基本要素」

  1. 子どもたちに互恵的な相互依存関係を明確に自覚させている
  2. 対面して行う促進的相互交流ができるように繰り返す
  3. グループの目標達成に向けた個人の責任とアカウンタビリティがはっきり認識されている
  4. ソーシャルスキル(個人や小集団との対人関係スキル)を適切に頻繁に利用する
  5. 将来の実効性を高めるために、グループの現状に関する協同活動評価を頻繁にかつ規則的に行う

それでは、これらの協同学習の5つの基本要素のそれぞれについて簡単に説明してみます。

難しく感じるかもしれませんが、あくまでも「目標とする定義」と捉えて、こうした姿に近づけようとする教師の姿勢が大切です。

(出典 www.mext.go.jp)

1.互恵的な相互依存関係の促進(Positive Interdependence)

目標、教材、役割などについて互いに協力を必要とするような関係、つまり「運命共同体」の関係を作ります。

全てのグループメンバーは共有した目標に向かって 一緒に働き、それぞれの子どもはグループの成功にとって、欠くことのできない重要な役割を果たし、グループメンバーを手助けする責任を持ちます。

全てのメンバーが目標に到達したときにだけ、グループは成功することになります。

2.対面的で促進的な相互交渉ができる(Face-to-Face Promotive Interaction)

仲間同士が援助したり、励ましたり、誉め合ったりしあうことで、子ども達がお互いの学習の成功を促進し合うという機会を教師が最大限保証する必要があります。

3.個人としての責任をもてる (Individual Accountability/ Personal Responsibility)

個々のグループメンバーは、教材について学習する、あるいは自分の個人目標に到達す るよう求められますが、これは、自分がやらなくても仲間がやってくれるという「無賃乗車」 (「社会的手抜き」とも言う)を防ぐものであるという考えからです。

「無賃乗車」は、個々のメンバーがど れだけグループに貢献したかを明らかにすることが困難なとき、メンバーの貢献が重複し ているときに生じます。

グループメンバーは理解できているかどうかを確認するために、互 いにクイズを出し合ったりするなど、学級が協同的なコミュニティを形成していくのにつれて、 他者への caring の感覚が発達し、互いに最善を尽くすよう励まし合うようになるのです。

4.社会的スキルや小グループ運営スキル(Interpersonal and Small-Group Skills)

教師は、やりとり(turn-taking)、傾聴、自己主張、妥協、意見の対立の解決など様々な 社会的スキルを、モデリング練習やフィードバックの手法によって、教えなくてはならなりません。

私たちは、他者と如何に上手に関わり合うかというようなことを、本能的に知って生まれ来てはいないからです。子どもたちが、質の高 い協力ができるように、教師は社会的スキルを指導しなければならないのです。

5.集団の改善手続き・振り返り (Group Processing)

どんな風に仲間を援助したらよかったか等について、グループでの振り返りの機会を必ず設定することが大切です。

このことにより、協同学習グループの中で仲間同士が上手く課題に取り組めるような関係を維持するよう意識させたり、グループの成功を喜び合い、仲間の積極的な行動を引き出したりすることができるようになっていきます。

まとめ

COTECHI
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「10歳の壁」と聞くと、すごく怖いもののようにとらえてしまいがちですが、実は発達の大切なひとつの段階という面も併せ持つことが分かりました。 

子どもの成長に変化はつきもの。

教師も保護者も、そのことをしっかり理解して、うまくその変化に対応しながら、互いに連携しながら、子どもたちの成長の節目を見守っていくことが大切ですね。

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