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「ひとり学び」と『学び合い』の学習の過程・形態の工夫について
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COTECHI
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こんにちは、COTECHIです。

「ひとり学び」や『学び合い』を学習の中で自然につくることができる授業の仕方について、教えてくださいという質問が多く聞かれますが、どうしたらよいのですか?

P-MASTER
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これからはますます、「考える力」を育てることがより重視されるようになっています。

子供たちが「共に学び合う楽しさ」に気づき、主体的に学習に取り組もうとする意欲を生むことと「ひとりで学ぶ習慣」をつけ、その後、「友だちを考えや思いを交換し合い、新たな自分の考えを再構築する」という「考える力」を育てることにつながる学習の進め方の工夫について考えてみましょう。

「ひとり学び」と『学び合い』とに大まかに分けて考える

授業過程の工夫を「ひとり学び」と『学び合い』とに、大まかに分けて考えてみるとよいと思います。

話し合いの内容の濃い、深まりのある『学び合い』は、子供たちひとりひとりが、「豊かな発想」「確かな考え」等、多くの情報をもっていることが前提条件となります。

「豊かな発想」や「確かな考え」等は、子供たち(大人にとっても同じですが)が始めから備わっている訳はなく、ある課題に関わって、まず、主体的に自分で考えることが必要となります。

そのためには、まず自分で考えるのが基本です。そうすることで、自分の考えをもって『学び合い』に参加できますし、それが論理的思考力を鍛えることにつながります。

もちろん、全く思いつかなければ、誰か人に、相談することが悪いわけではありません。「よく考えてみたけれども考えが思いつかなかった」というアウトプットもりっぱな考えであることと受け止めて進めたいものです。

十分考えた結果、それでも正解が見つからないときは、人に相談するのも、とても良い方法です。

自分で十分考えてみた末、やはり、どうしても、よい案やよい答えが見つからないときは、むしろ、積極的に相談するほうが適切な場合も多いです。

しかし、自分であまり深く考えることもせず、すぐ人に相談するのは、まったくよい選択とは言えません。

人に相談すると、簡単に正解が見つかりやすくなる分、自分で考える機会が少なくなり、そんな生き方の癖がつくと、どちらかというと、考えることから逃げることになるため、論理的思考力が向上するどころか、思考力を鍛える習慣がなくなり、その力は、低下するでしょう。

「ひとり学び」は、そうした論理的な思考力を鍛えること、そして、何事にも主体的に、自分事ととらえる経験を積むのには、大切な時間となります。

また、「ひとり学び」で、自分なりの考え方や答えをもって、『学び合い』に結び付けることで、『学び合い』の時間そのものが多様なものとなってくるので、「楽しい学びの時間」になってきます。

アウトプットやインプットが頻繁に繰り返される学習は、人の思考力を活性化させるのみではなく、「その学習対象についての関心」と「その話題に関わっている人たちへの関心」を一緒に高めてくれると思います。

『学び合い』の成否は、個々の思考内容の「質」と「量」に規定される

個々の子供の考えが表層的で浅いものでは、話し合う内容も、必然的に、内容のない薄いものにしかなりえません。

つまり、『学び合い』の学習の成否そのものは、その前の段階における個々の子供の思考内容の「質」と「量」に規定されることになってきます。

そこで、『学び合い』の前に、「ひとり学び」の時間をしっかり設定します。

この時間は、個人による、追及学習が中心であり、個々の子供がしっかりと腰を据えて学習対象と向き合う場です。

だから、次の過程である『学び合い』に向けて、自分の考えをつくり上げていくことを目標とする大切な時間と捉えて、しっかり時間を確保して、自分なりの考えを持たせることがとても大切です。

もちろん、「思いつかない」、「わからない」ということも、大切な自分の意見です。

「ひとり学び」であっても、実は「ひとり学び」ではない

「ひとり学び」は、個人学習の時間ですが、この時、教師による一斉指導の場面があってもよいのです。

基礎・基本をしっかりと押さえていく場でもあるので、必要なことは、きちんと教えていくことが必要ですから、『学び合い』だからと言って、教えることや指導することを躊躇する必要はありません。

また、「ひとり学び」であっても、できるだけ積極的に、ペアグループの 『学び合い』 を取り入れることが大切なことだと思います。

たとえば、個人作業で算数の練習問題に取り組む場合、自分ひとりの力では行き詰ってしまう子供もいるはずです。

そうした子供であっても、仲間のほんの少しの助けがあれば、自分の力で問題を解き進められることがあるからです。

よって、このような個人の作業では、自然な形で、スムーズに『学び合い』が生まれるように、最初からグループの形にしておくようにするとよいでしょう。

それは、友だちと一緒に学び合う意識を育てるために、子供どうしがお互いに、相手の姿を見合いながら学習できる形態を工夫するということです。

個人でできるだけ多くの情報を集め、その後のグループや学級全体での話し合いに備えるような授業でも、少人数での『学び合い』は、とても有効です。

お互いに意見交流することで、より多くの発見が得られたり、別の意味に気付いたりできますし、何よりも、自分と一緒に頑張って取り組んでいる仲間の姿が見られ、互いに良い影響をしあいます。

間違った考えが修正されることもあります。

グループで話し合う時には、グループ内で考えをまとめることを求めないようにすることも、とても大切なことです。

個々で考えが異なってもよいし、むしろ考えが異なっていることが望ましいのです。

なぜなら、学びは、異なる考えの中から生まれるからです。

「ひとり学び」は、考えを皆と一緒にする場面ではなく、あくまでも個々の考えをつくる場面、自分の考えとして持つ時間であるからです。

「ひとり学び」、『学び合い』の段階による授業展開には、次の2つが考えられると思います』

  • 1時間の中で「ひとり学び」と『学び合い』を行う。
  • 2、3時間を単位とし、前時に「ひとり学び」、次時に『学び合い』を行う。

学年の発達段階や教科、単元や学習内容に応じて、「ひとり学び」と『学び合い』を効果的に組み合わせるようにするとよいでしょう。

さらに、「ひとり学び」と『学び合い』という連続した2過程とすることで、授業の流れが単純化され、子供たちが、じっくりと腰を据えて、課題に取り組むことができるようになると思います。

子供同士がお互いの学ぶ姿を見ることのできる学習形態が重要

友だちが教師や仲間の話している顔を見て話を聴いている姿、教師が話している時に、つぶやく姿、発言している姿、ノート等に書いている姿など、友だちが学習に向かい、取り組んでいる姿を見ることは、学習に向かう気持ちを子供同士が見ながら刺激し合うよい雰囲気を重ね合い、「自分も頑張ろう」と学ぶ意欲を育むことにつながります。

学級の子供の中には、教師が育てようとする学び方の素地や資質をすでにもち、目標に向かって育っている子供がいます。いわゆる「よくできる子」です。

その子供の存在に気づき、そうした子供と共に、互いに認め合い、高め合って育つことが学校教育の目指すところです。

ですから、子供同士がお互いの姿を見ることのできる学習形態がとても重要だと考えます。

また、毎日毎時間、学級の集団で学習していると、多くの子供は、自分自身が学習する当事者であることに気づかず、終始、教師や友だちの話を聴くだけになりがちな消極的な子供も見られます。

当然、話すことや聴くこと、考えることや書くことなどの学習活動も、当事者という意識が薄れ、「人任せ・友だち任せ」になってしまうのです。

まず、「自分自身が学習の主体」であることの意識を育てたいものです。

そのためにも、「まず、自分がひとりで考え、学習に取り組み、自分が学ぶ主体であるという形態」を創り出すように工夫します。

そして、繰り返し活動に取り入れることを通して、「学びの最初は、ひとりで考え、学習する」習慣をつけましょう。

『学び合い』や「ひとり学び」をスムーズにつくることができる方法

共に学び合う学習の形

学級全員が考え合う学習では、机を「コ」の字型や風車型等に並べるなど、友だち同士が互いに学び合っている姿を、それぞれの子供が見ることができるような机列の形を工夫しましょう。

ひとりで考え、学習する学習の形

例えば、ひとりで考えて書く活動では、机を窓側や壁側に一列に並べ、ひとりずつ窓や壁に向かわせて書いたり作業をさせたりという、ひとりの環境を作る形を見かけることがありますが、私はあえて、そのような形にせず、毎日の自然な普通の机列でもよいし、グループの机列でもよいと思います。

一例ですが、先に述べたように、お互いの活動の様子が見て取れることは、集団で学習している場ですので、大切なことだと思います。

このような形を含め、私は、教師が教えることに追われる授業から、教師が子供の学ぶ時間をしっかりと確保し、子供たちが進んで授業づくりをする学習への転換を図ろうと考えています。

子供同士がつながり合いをもちながら『学び合う』ために

学び合いでの教師の仕事

決まった子供だけではなく、どの子供からも・・・全ての子供から、バラエティ豊かな発言が出され、その発言に連続し、子供たちが互いにつながり合いをもちながら、学びが深まっていく。

私たちは、このようなクラストーク(学級内の話し合い)の姿を求めていきたい。

そのために、以下のことに 心がけて、授業に取り組んでいきたいと思います。

1. 教師は子供の素の言葉を聴くことに全力を注ぐこと

子供同士が互いに「聴き合うよい関係」をつくるためには、教師自身が自分の姿をもって、「聴くことの大切さ」を教えるようにします。

教師自身が率先して、子供の言葉を聴きとる耳をもたなければ、子供の学びは見えません。

やはり、学校生活のほとんどは、「授業」時間です。

「授業」の時間内に、子供相互の仲間の絆を深め、互いに、努力する大切さを知り、人を大切にし、敬う態度に気づかせて、育てていきます。

そう、「全て、全部」なのです。

教師は、学習内容だけを教えるのではなく、「授業」の時間を通して、人を育てるのですから、もちろん、「よい聴き方ができる人」に育てるのも「授業」が中心になります。

では、授業でどのように育てるのか・・・授業の進め方や発表の仕方など、いろいろな方法がありますが、一番大切なことは、「教師自身が、感じのよい対応を心がける。」ということです。

2. 子供から多様な考えが出される問いを用意する

答えがきまりきった問い、答えようがない問い、そして、挑戦のし甲斐のない問いでは、子供は、すすんで意見を言いたいという意欲をもてません。

3. 子供の発言を教師が繰り返さない

不必要な子供の発言の繰り返しを続けていると、子供は「聴いていなくても先生がまた言い直してくれる」と、思うようになってしまいます。

4.子供たちの中の「分からなさ」から出発する

「分かった?」「できた?」と最初に尋ねる先生をよく目にします。

授業から、「分からなかった?」「できなかった?」と尋ね、分からないことが分かるようになっていく過程を大切にするような授業を心がけます。

教師にとって都合のよい発言で授業を進めてはいけません。

5.〈つなぐ〉〈もどす〉を教師はいつも心に留めておく

〈つなぐ〉
・子供の発言を、他の子供の発言につなぎます。
・子供と学習する対象(教科書や資料)をつなぎます

〈もどす〉
・子供が行き詰まったときに、少人数での学び合いにもどします。
・教科書や資料から離れたときに、もう一度そこにもどします。

6. 声のトーンを下げ、授業への緊張や不安などのテンションを落とす

お互いの声を聴き合うために、授業全体の緊張や不安などのテンションを落とし、しっとりと落ち着いた雰囲気の中で学ぶようにします。

教師自身も、自分の声の大きさや語調を下げ、柔らかく語りかけるように心がけます。

私たち教師は、昔から、子供を観客や出演者にたとえ、私たちは、役者だ・・・と指導されたものです。

7.子供と同じ視線で参加する

子供と同じ視線で、聴くことに専念します。そうすることで、発言のつながりが見えるようになってきます。

また、子供と教師との関わりがふんわりと柔らかくなってくるという効果が期待できます。

まとめ

分からなかった子供が分かるようになっていく過程で、分かっていると思っていた子供にも学びが生まれるようになっていくとよいと思います。

そのような学びを促していけるようにするために、教師の深い計画と優しく温かいまなざしが何よりも大切なんだと思います。

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